自分の中のどうにもならなさ 〜清原和博 告白を読んで〜

清原和博氏の「告白」を読んだ。

同年代のボクは、眩いばかりの甲子園での活躍からドラフト、涙の日本シリーズ、名勝負の数々、FA移籍、引退、薬物、と浮き沈みの大きな彼の人生を見てきた。

そしてボクは本書にルポルタージュを期待していた。その数々のエピソードについて、本人の回顧と周囲への丁寧な取材を加えて浮かび上がる真相を知りたかった。

しかし、新たな事実とか衝撃の告白などは無かった。その時々の心模様を清原氏本人が赤裸々に語る回顧録といった方が適当だろう。

 

力と力の勝負だけでは生き残れないプロ野球の世界で、力勝負から抜け出せない自分。

ドラフトから10年が過ぎたFA移籍の交渉席上。まず一言の謝罪が無いことがどうしても許せない自分。

尊敬とライバル心と裏切り。愛憎入り交じる桑田真澄氏との関係。

枯れ果てることのないファンの声援への渇望。

自らの引き際を「死」と表現してしまう、破滅への甘美な憧れ。

 

わかってはいるが、自分ではどうにも変えることができない自分。性とか業といったものと対峙し続けた半生の記録。

 

ここが底なのかは不確かだが、氏の人生の中でもかなり深く沈んだ時期のインタビューだ。爽快な読後感などは無かった。読みながら、もやもやとした気持ちが積み重なる。

普段は蓋をして奥底にしまわれている自分の中の業のようなものが掘り起こされる。

 

編集者のあとがきが、私の読後感をよく表しているので一部引用しておく。

 

謙虚と傲慢、純粋と狡猾、率直と欺瞞・・・・。

清原さんが全身から発していたものは、少なからず私自身の心にも巣食っているものでした。あなたを破壊したものは、私の中にもありました。 

 

あなたの「告白」に向き合うということは、私にとっても自分自身の中にある、人としての矛盾や闇を突きつけられるということでした。

 

これは極端な人間らしさの記録です。

どうしようもなさ、ままならなさの記録です。

 

 

 

清原和博 告白

清原和博 告白